この記事の目次
はじめに
「エアの消費量を抑えるロードマップ」で紹介した呼吸の適正化についての補足記事になります。
良い呼吸方法、悪い呼吸方法をグラフ化して比較していきます。
中性浮力を取る際の、呼吸のコントロール方法についても触れた記事です。
- 悪い呼吸方法
- いい呼吸方法
- 呼吸のコントロール
この順番で行っていきます。
悪い呼吸方法
大きく分けてA~Fの6種類を紹介します。
A・・・浅く速い呼吸
呼吸回数が多くエアの消費量が多いです。
また浅い呼吸によりほとんどデッドエア・スペースの空気を吸うことになり、体内の二酸化炭素濃度が上がりさらに呼吸数が増えます。
疲労・息切れの原因になります。
※デッド・エア・スペース・・・のど、気管などのガス交換をしない空気の通り道
B・・・浅くゆっくりな呼吸
ゆっくり呼吸を行うことでエアの消費量は抑えられます。
しかし呼吸が浅い(換気量が少ない)のでAの呼吸法と一緒でデッドエア・スペースの空気を多く吸うことになります。
二酸化炭素濃度が上がるので、次第に呼吸が速くなります。
C・・・深く速い呼吸
俗に言う「過呼吸」「過換気」の状態です。
ストレスが多く掛るとなりやすいです。
この状態は血中の酸素濃度過剰、二酸化炭素濃度減少となります。
普段の血液は中性ですが二酸化炭素が減ることで急激にアルカリ性に傾き、身体のしびれや意識障害を引き起こします。
トラブル・パニックの原因に繋がる為、なるべくこの状態にはなりたくないものです。
もし過呼吸に気づいた場合は、身体の動きを止めゆっくり5秒以上かけて呼吸を行うようにします。
(Bの呼吸を意識する)
D・・・不規則な呼吸
自分の呼吸のリズムをコントロールできていない状態です。
次第にストレスが掛かり、パニックの原因になります。
E・・・スキップ呼吸
呼吸を意識的、無意識的に止めてしまう呼吸法です。
一見エアの節約になっているように見えますが逆効果、体内の二酸化炭素濃度が上昇します。。
また浮上時の肺の過膨張障害(エアエンボリズム)の原因にもなるので注意しましょう。
F・・・過度に大きな呼吸
Cの呼吸と一緒で酸素濃度が上昇します。
これ以上吸えない・吐けない状態が続くので、息苦しさを感じていきます。
横隔膜などの筋肉も大きく動くので疲労の原因になります。
良い呼吸法
俗に言う「深くゆっくり」な呼吸方法です。
イメージとしては4~5秒くらいで吸う、吐くといった感じでしょうか。
深くゆっくり呼吸することで空気の1分間当たりの換気量を増やします。
ダイビング中はデッドエアスペースが通常より多いので深く呼吸をすることが望ましいです。
呼吸のコントロール
吸い気味の呼吸、吐き気味の呼吸といわれるものです。
スキップ呼吸をせずに浮力の調整をする際に使います。
イメージは色々あろうかと思いますが、私はこんな感じ。
吸い気味の呼吸
深くゆっくり吸い、深く速く吐きます。
ポイントは吸う側の呼吸のスピードです。
吸い始めを少し速くし、だんだん遅くしながら長く吸います。
これによりマイナス浮力になっている時間を減らします。
ゆっくり少しずつ深度をあげるときに使います。
深度が浅くなったらBCDの空気が膨張しますので、排気しながら通常の呼吸に戻します。
吐き気味の呼吸
前項と逆で深くゆっくり吐き、深く速く吸います。
ポイントは吐く側、吐き始めを速く次第にゆっくり深くです。
これによりプラス浮力になっている時間を減らし、身体が浮かないようにします。
これは潜降を始め身体が沈んだときに、身体が浮き上がらないようにするもの。
またカメラで写真を撮っているときに水底などで身体を落ち着かせる際にも使用します。
このコントロール方法はプラスかマイナスどちらかは速い呼吸になるので、長く続けると悪い呼吸法に繋がります。
必要な時だけに使用し、なるべく早く良い呼吸に切り替えましょう。
終わりに
呼吸方法1つでエアの消費量だけで無く、ダイビング全体の負荷が変わってきます。
ダイビング中の負荷が大きいとストレスが掛かり、パニック・トラブルの原因にもなりますので注意しましょう。
良い呼吸をして楽なダイビングを心がけましょう!
それでは。