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ダイビングでエアが早く減った理由|過去のSAC率と器材記事から原因を再検証

2026年5月、約9か月ぶりに串本で潜りました。

1本目のポイントは住崎。
10Lシリンダーを180barから使い始め、潜水時間35分、平均深度18m、最大深度24.9m。残圧50barの時点でガイドへ浮上の合図を出し、安全停止を行ってエキジットしました。

最終残圧は20bar。

残圧を見落としていたわけではありません。
潜水中も、昔の自分と比べて明らかにエアの減りが早いことには気づいていました。

この時点では、9か月ぶりのダイビングによる緊張が主な原因だと考えていました。

しかし、1本目を終えて船上で振り返るうちに、過去の自分が書いた記事の内容を思い出しました。

以前Diverhythmでは、SAC率を使った空気消費量の考え方や、エア消費に影響する器材・ウェイト・フィン・姿勢について整理しています。

当時、自分で書いていたのは、エア消費は単純に「呼吸が下手だから」増えるわけではないということでした。

器材バランス、行動面、心理面、、、

複数の要因が重なって、エア消費は変化します。

今回は、過去に自分で書いたSAC率と器材の記事を思い出しながら、1本目でエアが早く減った原因を再検証します。

まずは3本のデータを比較する

 

今回の3本の潜水データは次の通りです。

1本目の使用ガス量は、

10L × 160bar = 1,600L

平均深度18mは、水面の約2.8倍の圧力環境です。

そのため概算SAC率は

1,600L ÷ 35分 ÷ 2.8 = 約16.3L/分

となります。

数字だけを見れば、極端に異常な値とまでは言えません。

ただし、昔の自分の感覚と比べると、明らかに減りが早く感じられました。

また、10Lシリンダーを180barから使っていたため、最初から使える総ガス量に大きな余裕があったわけではありません。

今回の問題は、単に最終残圧が20barだったことではなく、複数の要因が重なり、予定より早い段階でガスを消費したことです。

 

最初に考えた原因は、久しぶりの緊張

1本目は約9か月ぶりのダイビングでした。

器材を背負い、ボートからエントリーし、水中で呼吸を始める。

経験があっても、間が空けば身体の感覚は鈍ります。

強い恐怖を感じていたわけではありませんが、呼吸は普段より浅く、少し吸い気味になっていました。

この時点では、

「久しぶりだから緊張している」

「そのせいで呼吸が浅くなっている」

と判断していました。

緊張そのものは、復帰1本目ならある程度仕方がありません。

問題は、エア消費の原因を緊張だけで説明しようとしていたことです。

エアが早いことへの申し訳なさが焦りを生んだ

潜水中、周囲より残圧の減りが早いことが気になり始めました。

すると、別の焦りが出てきます。

「自分のせいでダイビングを早く終わらせるかもしれない」

「ガイドや他のダイバーに迷惑をかけるかもしれない」

その申し訳なさが、さらに呼吸を浅くしていた可能性があります。

私自身は相手にそう思うことはないのですが、自分が原因の場合は自責の念が出てしまいますね。

エアが減る。

減っていることが気になる。

気になることで呼吸が乱れる。

さらにエアが減る。

こうした循環に入りかけていました。

ただし、大きなパニックになっていたり残圧を見失っていたわけではありません。

エアの減りが早いと気づいてからは、

  • 周囲より少し浅い水深を意識。
  • 残圧は定期的にガイドへ報告し、50barの時点で浮上の合図を出しました。
  • 当日は流れがほとんどなく、波も比較的穏やか。ロープに頼らず安全停止できる状態。
  • 船も見えており、フロートも携行。仮に船の直上へ浮上できなくても、水面で位置を知らせる準備はできている。

久しぶりの低残圧に多少の不安はありましたが、判断とコントロールはできていました。

今回の反省は、残圧管理そのものよりも、ガス消費を早めた原因をその場で十分に切り分けられなかったことです。

アカシマタキベラを撮るために追ってしまった

1本目の住崎では、最近この周辺に住み着いているというアカシマタキベラを探しました。

無事に見つけ、カメラに収めることはできました。

ただし、写真を撮るために魚を追ってしまいました。

水中で魚を追うと、自分が思っている以上に運動量が増えます。

久しぶりの緊張で呼吸が浅い状態で運動量が大きくなれば、エア消費が増えるのは自然です。

2本目以降は、逃げる魚を無理に追わず、ゆっくり泳ぐことを意識しました。

フィンワークが多すぎた

1本目では、以前よりフィンを動かす回数が多い感覚もありました。

最初は、久しぶりで泳ぎ方がぎこちないだけだと思っていました。

しかし、過去の器材記事を思い出すと、フィンワークが増える原因は技術だけではありません。

器材バランスやウエイト量、作る姿勢、

こうした要素も関係します。

普段使用しているフィンはGULLのミューサイファーですが、今回はGTフィンを使っていました。

さらに、ドライスーツで足が浮くことを警戒し、腰のウェイト4kgに加えて、アンクルウェイトを合計1kg装着。

総ウェイトは5kgでした。

GTフィンは、普段使っているミューサイファーより足元に重量を感じます。

そこへアンクルウェイトを追加したことで、足側が重くなりすぎていた可能性があります。

足が沈む→上半身が起きる→水の抵抗大→泳いでも進まない→いっぱい足を動かす

この連鎖も、エア消費へ影響していたと考えています。

一番の原因は、肺で浮力を支えていたこと

今回の中で最も大きな気づきは、浮力調整でした。

私はブランクなれど初心者と比べれば、フィンを大きく動かさず、その場へ止まることはできます。

そのため、自分では中性浮力が取れていると思っていました。

しかし実際には、BCDやドライスーツで十分なベース浮力を作らず、肺に空気を多めに残した吸い気味の呼吸で身体を支えていました。

見た目では止まれている。

大きく沈んでもいない。

それでも、呼吸は自由ではありませんでした。

本来は、BCDやドライスーツで大まかな中性浮力を作り、呼吸は上下動の微調整に使います。

ところが今回は、器材で作るべき浮力の一部まで肺で補っていました。

常に少し吸っている。

十分に吐きにくい。

呼吸が浅くなる。

身体がリラックスしにくい。

結果として、エア消費が増える。

「中性浮力が取れているか」は、その場に止まれるかだけでは判断できません。

普通に息を吐けるか。

自然な呼吸のまま姿勢を維持できるか。

止まるために無意識にフィンを使っていないか。

今回の1本目では、そこが崩れていました。

平均深度18mもエア消費に影響した

1本目の最大深度は24.9m、平均深度は18mでした。

最大深度だけでなく、平均深度が比較的深かったことも、エア消費が早く見えた理由の一つです。

同じ呼吸量でも、深度が深いほどシリンダー内のガスは速く消費されます。

エアの減りが早いと気づいてからは、周囲より少し浅い18m付近を意識しました。

ただ、復帰1本目としては、最初からもう少し浅めの計画でもよかったと思います。

 

船上で過去の記事を思い出した

1本目の船上休憩中、頭の中で原因を整理しました。

この時に思い出したのが、過去の自分の記事です。

以前書いたSAC率の記事では、同じ人でも空気消費量は一定ではなく、運動量、体調、ストレス、水深、ダイビング頻度などで変化すると整理していました。

また、エアの消費改善の記事では、次のような項目を確認していました。

  • ウェイト量は適正か

  • フィンが装備や脚力に合っているか

  • 姿勢が崩れていないか

  • 浮力調整を器材ではなく身体で補っていないか

昔の記事を書いた時は、知識として整理していました。

今回は、その内容を自分自身で再検証することになりました。

2本目・備前で修正を試す

2本目のポイントは備前です。

緊張や申し訳なさを完全になくすことはできません。

一方で、泳ぎ方、深度、浮力調整は変えられます。

2本目では、次のことを意識しました。

  • 魚を無理に追わない

  • ゆっくり泳ぐ

  • ガイドと同程度か、少し浅い深度を取る

  • BCDとドライスーツでベースの浮力を作る

  • 呼吸は微調整に使う

  • 不要なフィンワークを減らす

2本目のデータは次の通りです。

  • シリンダー:12L

  • 開始圧:190bar

  • 終了圧:60bar

  • 潜水時間:54分54秒

  • 平均深度:16.6m

  • 最大深度:22.6m

使用したガス量は、

12L × 130bar = 1,560L

平均深度16.6mを約2.66ATA、潜水時間を約54.9分として計算すると、概算SAC率は約10.7L/分です。

1本目の概算SAC率は約16.3L/分だったため、今回の条件では約34%改善しています。

12Lシリンダーに変わったため残圧表示上の減り方が穏やかになっただけではありません。

シリンダー容量、平均深度、潜水時間を補正したSAC率そのものが下がっています。

泳ぎ方や浮力調整を意識した効果は、一定程度あったと考えられます。

ただし、1本目と2本目ではポイント、深度、動き方などの条件が完全に同じではありません。

そのため、「技術が34%改善した」とまでは言えません。

あくまで、今回の2本目ではSAC率が約34%低下したという結果です。

一方で、2本目では上半身が少し起き気味であることが気になりました。

足元が重すぎる可能性を考え、3本目ではアンクルウェイトを外して試すことにしました。

3本目・グラスワールドで姿勢を検証する

3本目のポイントはグラスワールドです。

アンクルウェイトを外して潜り、姿勢がどう変わるかを確認しました。

 

3本目のデータは次の通りです。

  • シリンダー:12L

  • 開始圧:200bar

  • 終了圧:65bar

  • 潜水時間:56分

  • 平均深度:15.5m

  • 最大深度:19.6m

使用したガス量は、

12L × 135bar = 1,620L

平均深度15.5mを約2.55ATAとして計算すると、概算SAC率は約11.3L/分です。

2本目の約10.7L/分と比べると、3本目はわずかに増えています。

そのため、アンクルウェイトを外した効果が、エア消費量へ直接現れたとは言えません。

ただし、3本目は水底付近でカメラを構えている時間が長く、2本目とは行動内容が異なりました。

特に、口内保育中のアオスジテンジクダイが口を開く瞬間を撮影するため、同じ場所でしばらく待っています。

撮影中は構図と被写体との距離を保つため、BCDを細かく操作するよりも、肺の浮力を使って高さを調整する場面がありました。

これは1本目のように、無自覚に吸い気味の呼吸で中性浮力を支えていた状態とは少し異なります。

3本目では、自分が肺を使っていることを理解したうえで、撮影のために一時的に行っていました。

ただし、意図的であっても、吸う量や呼吸のタイミングが普段と変われば、自然な呼吸リズムは多少崩れます。

3本目のSAC率が2本目より少し増えた理由の一つとして、この撮影時の呼吸操作は考えられます。

SAC率には出なかったが、姿勢は改善した

3本目では、アンクルウェイトを外したことによる姿勢の変化は、はっきり感じられました。

上半身が起き上がりにくくなり、水平姿勢を取りやすくなりました。

足側へ空気が過剰に移動する感覚もなく、足からの吹き上がりもありません。

自分の範囲では、問題なくコントロールできました。

つまり3本目では、

  • SAC率は2本目より少し増えた

  • 撮影時間が長かった

  • 撮影中に意図的な肺の浮力調整があった

  • アンクルウェイトを外して水平姿勢は改善した

  • 足側のエアもコントロールできた

という結果になりました。

器材設定の効果を、SAC率だけで評価するのは難しいと感じます。

姿勢が改善しても、そのダイブで撮影や運動が増えれば、消費量へは表れないことがあります。

反対に、SAC率が低くても、姿勢や呼吸に無理がないとは限りません。

今回の3本目では、アンクルウェイトを外す方向性は良さそうでした。

ただし、1回だけで最適な設定と断定はできません。

今後も同じ装備で数回潜り、姿勢、フィンワーク、呼吸、SAC率を合わせて確認したいと思います。

肺で浮力を調整すること自体が悪いわけではない

今回、1本目と3本目のどちらでも肺を使った浮力調整がありました。

ただし、この二つは同じではありません。

1本目は、BCDやドライスーツで作るべきベース浮力を、無自覚に肺で補っていました。

その結果、吸い気味の浅い呼吸が続き、呼吸の自由度を失っていました。

一方、3本目では、撮影のために自覚的かつ一時的に肺で高さを調整していました。

肺による微調整は、本来ダイビングで使う技術です。

問題は、

  • 自分が使っていることに気づいているか

  • 一時的な微調整なのか

  • ベース浮力まで肺に依存していないか

  • 自然な呼吸へ戻れるか

という点です。

肺を使うこと自体を悪いと考えるのではなく、無自覚な依存と、意図的な微調整を分けて考える必要があります。

エアが早かった理由は、一つではなかった

今回の1本目でエア消費が早くなった理由を整理すると、次のようになります。

久しぶりだから呼吸が荒れた」だけではありません。

心理、撮影行動、器材、姿勢、浮力調整、深度がつながり、結果としてエア消費が増えていました。

エアが早いことと、安全判断ができないことは別

今回、1本目の最終残圧は20barでした。

数字だけを見れば、余裕の少ない結果です。

一方で、残圧は定期的に確認し、50barの段階でガイドへ浮上の合図を出しています。

水深を少し浅めに調整し、ガイドと一緒に安全停止を行って浮上しました。

エア消費が早いことは、改善すべき課題です。

ただし、それを隠さず報告し、必要なタイミングで浮上へ切り替えられるかどうかも、安全には重要です。

今回できていたことと、できていなかったことは分けて考える必要があります。

まとめ|過去の知識を、復帰ダイブで使い直した

ダイビングランキング
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今回の一番大きな反省は、エアの減りそのものよりも、自分が肺でベース浮力を支えていることに気づかなかった点です。

フィンを動かさず止まれていたため、自分では中性浮力が取れていると思っていました。

しかし実際には、吸い気味の呼吸で浮力を補い、呼吸の自由度を失っていました。

中性浮力は、単にその場へ止まれることではありません。

自然に呼吸できること。

楽な姿勢を保てること。

無駄なフィンワークを使わないこと。

器材の浮力と重量が釣り合っていること。

そこまで含めて考える必要があります。

2本目では、泳ぐ速度、深度、浮力調整を見直し、SAC率は約10.7L/分まで下がりました。

3本目では、撮影の影響でSAC率は約11.3L/分へ少し増えたものの、アンクルウェイトを外したことで水平姿勢は改善しました。

数値だけでは見えない改善もあります。

昔学んだ知識を記事として残していたからこそ、今回の違和感を分解できた部分もあります。

失敗を隠すのではなく、何が起きたかを分解する。

次のダイビングで一つずつ変更する。

数値と感覚の両方から結果を確認する。

過去に書いた知識を、現在の自分が使い直す。

それが、今回のダイビングで改めて感じた「考えて潜る」ということでした。

 

 

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